2012年7月23日月曜日

「思考ツールとしてのタロット」レポ


 7月21日 阿佐ヶ谷ロフトA。
 この日は『ぷよぷよ』『バロック』といった有名ゲームを生み出した米光一成氏による
イベント「思考ツールとしてのタロット」が開催された。

 開場前から狭い通路には入場待ちの人が列を成している。
 大人気句会イベント「東京マッハ」や「夜のゲーム大学」など、同氏が出演する他のイベントよりも女性客が多い。
 6月に開催された「マルクト・サウンドスケープ」(『バロック』イベント)の流れだろうか。
 同席した女性に尋ねると6月に参加できなかったので今回こそはとやって来たとのこと。



第一部  魔術師現る!?
 黒っぽい Tシャツにフード付きのベストを着た米光一成氏。

「そぉーぞぉーしてくださぁい!」

 ああ、ピンドラの「イマージーン」を連想してしまう。
 音楽に合わせて次々にスライドに表示されていく文字。
 最後にイベント企画/太田ユリ(阿佐ヶ谷ロフトaの美人店員さん)、出演/米光一成といった文字が流れてOP終了。





 タロットとは大アルカナ(愚者、魔術師など)と小アルカナ(棍棒、剣など)の計 78枚で構成されている。
 今回はかっこいい&分かりやすいという理由で大アルカナ 全22枚を使用。



【タロット】
来場者に配られたタロットカード。
「持ち歩けるサイズにしたので、ぜひ常用してほしい」(名刺と同じ大きさ)
シンプルなデザインかつ、こだわりの角丸加工!



 まずは各自 22枚の中から師と魔獣を選ぶ。
 師ってなんだろうか。対する私がもれなく弟子になる……そんな関係を築くカードだ。
 師の反応が鈍いときに突っ込んでくれるのが魔獣。敵ではないのであしからず。

 次に、師と魔獣に以下のことをする。
 1、名前を呼ぶ
 2、エサを与える(そのカードが好みそうな話をしてあげる)
 3、様子を見る

 これらを怠ると久しぶりに会った時に干からびてるらしい。
 最後まできちんと面倒をみましょう。

【師と魔獣】
師:「塔」のシーザー
魔獣:「審判」のハウエル
ごめん、イベント終了後から未だにエサをあげていない。
でも、師には干からびることすらエサになりそう安心。



 ここで簡単にタロットの歴史について説明が始まる。
 タロットは元はカードゲームだったが、徐々に占いや魔術的なものへと変わっていった。
 なぜかと言うと、魔術師には correspondence(略してコレポン)という考えがあるから。
 
 簡単に言うと
「目にうつる全てのことはメッセージ」( byユーミン)
 彼らがタロットの絵柄に魔術的なメッセージを見出していったおかげで、今日ではタロット=占い・魔術というイメージが定着している。
魔術師のコレポンを16文字で片付けたユーミンすごい!

 変わり種タロットとして「シリコンバレータロット」なるものが紹介された。
 「愚者」がハッカーになっているし、背後でサーバー? ハードディスク? が燃えている。

 「これでシリコンバレーの人たちがハッカーをどう思っているかが分かる」という米光氏。



【オリジナルメニュー】
イベントに合わせた特別メニュー。
「愚者丼は具をぐしゃっとのせれば良いだけ!」
すごい! ダジャレだ!
魔術師カレーは第一部終了と同時に完売。
それにしても個性的な字だ……。

















第二部  コレポンの天才現る!!

「腐女子は自分が気づかないうちに魔術師になってますから!」








 ツイッター( #思考ツール)でコレポンについて「腐女子の得意技」という呟きを発見した米光氏の言葉で第二部開幕。
 
 女性の多い会場はもれなく笑いに包まれた。
 たぶん、身に覚えのある人も少なくなかったろう。
 あ、夏コミ行こうかな!

 第一部に続き、タロット一枚一枚について詳しく解説。
【配布プリント】
カードとキーワードが書かれている。
最初は仕方ないが、キーワードに縛られずに象徴を捉えることが重要!



【女教皇】
このカードについては以前お話を聞いていたので小説を購入済み。
興味を持った人も多いと思う。
ただ、説明の中で壮大にネタバレされてしまった。





第三部  相談の達人現る!!

 
 自身の苦い経験から、相談は成功しないと言う米光氏。

 「なぜ相談は失敗するのか」

 相談内容の全貌は相談者にすら分からないのだから、相談者から聞いた話だけで的確な助言はできない。そこには当事者ならではの「言葉にできない想い」もある。
 「部屋が汚くて困ってる」
 「掃除すればいいじゃん」
 「わかってるけど、でも(むにゃむにゃ)……」
「わかってるけど問題」と称されたこの現象、日本中で日常的に繰り返されているに違いない。
 良かれと思って客観的に助言しても「わかったようなこと言わないで!」「私の何を知ってるの!」ということにもなりかねない。


 つまり、相談が失敗するのは、客観的なリアリティ(現実性)と当事者のアクチュアリティ(迫真性)のすれ違いにあるというわけだ。
 これを「文脈の欠落問題」と指摘。


 となると、相談を成功させる「当たる」助言は不可能だ。「当たる」ではなく、相談者自ら「思い当たる」助言が重要となる。


 うーん、そもそも相談って解決して欲しくてするとは限らない。聞いて貰う、同調して貰う。それだけで良い場合も多い。なのに冷静に指摘されたら、そりゃ怒る。もちろん相談は失敗!
 米光氏、ひょっとして乙女心を理解できなかったから相談に乗っては失敗していたのでは……。



それはさておき、いよいよ二人一組になって相手を占うことに。
ルールは簡単。
  1. 占う方は助言しない
  2.  3枚展開
  3. 左手から過去・現在・未来と並べる
  4. 相談者はカードから思い当たることを話す

 占う方は相談内容を他意なく(「宿題やったの?」という質問は暗に「宿題やりなさい」と言っている)質問する。
 こうすることで相談者自身にも問題の周辺が見えてくるので、後で3枚のカードを解釈する時に「思い当たり」やすくなる!

では早速!


【3枚展開】
相談内容:転職が上手くいきますか?
カード:過去「愚者」 現在「女帝 」未来「女教皇」

過去:以前いた業界とは違うが、仕事内容が近い会社に入社した。仕事は楽しくて、視野は広がった。しかし、求人と異なる点が多かったり、すごいことがたくさんあったので辞めた。すごいなぁ、とても思い当たる。

現在:ようやく体調も良くなってきて、色々な人から仕事について話を聞く機会が増えた。


未来:専門の知識を付けようかと考えていたので、これから黙々と知識を蓄えていくのが吉ってこと?

 未来の事となると思い当たりようがないなー(しかもキーワード「神秘・沈黙」)と思っていたけど、現在からの流れで捉えると繋がってきた。
 ライダー版の「女教皇」は後に幕が張ってあったりして、きっと後で地道に勉強しているんだと思う。

 占いとして信じているわけではないけど、何度も同じカードを引く人もいる。
 そういう「神秘様」がいるとしか思えない瞬間は実際にあるという米光氏。

 私は何度も同じカードを引くということはないけど、女性のカードを引くことは多い。
 3枚引いたときも「また女性が多い!!」と思った。
 以前 6枚引いたときには4枚が女性だった(この時は小アルカナも使っていた)
 神秘様がいるか確認するためにも、毎日タロットを1枚引いてみるのも面白そうだ。 
 解釈の幅を増やしていくことができれば、物事を多角的に捉えることもできるだろう。正に「思考ツールとしてのタロット」。

「そぉーぞぉーしてくださぁい!!」


次回は「荒木先生と宮崎監督が魔術師であることを検証する」イベントだそう。


『バロック』」ファンに荒木先生ファンとジブリファン……彼らが一同に会す奇跡のイベントに乞うご期待! (全てが未定)


10年後には「自分のタロットを作る」というイベントがあるかも知れない。



終了後は米光氏のサインを求めて女性客が長蛇の列を作っていた。

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